2021(令和3)年の日本開催から3年経ち、現在パリ五輪が熱気を帯びている。母国の期待を一身に背負い、プレッシャーと戦うアスリートたちの姿を昼夜、目にする▼勝負は、時の運ともいえるが不可解な判定に泣かされることも多い。特に日本のお家芸柔道は「JUDO」に進化し、世界に広まっているものの、微妙な技の応酬に審判の技量が追いつかないことも、今大会で露呈している▼その憤りを神聖な畳の上でぶつけるわけにもいかない。不満を抑えつつ、最後は「礼節」を重んじ頭を垂れる。以前、東京大会を前にNHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(はなし)~」が放送された▼嘉納治五郎、金栗四三ら歴史上の人物を軸に物語が展開したが、視聴率は伸びずコロナ禍も追い打ちをかけた。国内でのパリ五輪の機運醸成に「いだてん」を再放送していたらと思う。特に日本女性初のメダリスト人見絹江さんの活躍には、見るものがあった。
片隅抄