成人としての意識はおろか、社会人になるという実感が持てず、とんと就職活動をしなかった。就職氷河期世代で友人も志望に関係なく内定がもらえれば御の字。安定の公務員が人気だった▼ろくに勉強もせず教員採用試験を受けたが、当然かすりもしない。絵描きになりたいと妄想を膨らませるばかりで何も為しえなかったが、縁が重なりペンとカメラを持ち歩く日々が始まった。地元志向が強かったこともあり、地域に根差したいわき民報の業務はすべてが新鮮で刺激的だった。そしていわきに生まれ育ったのに、何も知らなかった自らを恥じた▼果たして市民のうち何割が故郷のことを知っているのだろう。その魅力に気付けば、まちの在り方も変わるだろう。もっと多くの市民に、地域密着の地元紙を読んで学んでほしい。頑張れ、頑張れ、頑張れ▼先日、人生の大先輩から叱咤激励を受けた。夕刊から朝刊になっても、志と編集方針は何ら変わらない。地域密着だ。