戦後ドイツの苦難、復興過程を映像で記録したNHK総合「バタフライエフェクト」を見た。一人の独裁者の狂気が引き起こした悲劇は、他国のみならず敗戦国民に大きくのしかかった▼当時、一党支配を許さざるを得なかったのかと疑問に思うが、破竹の勢いで領土拡大する指導者の前では、あながちドイツ第三帝国も夢ではないと幻想を抱いたのか。第50回衆院総選挙が終わった。結果はご承知のように与党自公の惨敗、野党立憲・国民民主の大躍進▼少し前、ある評論家らしき人が自民党支持者を「劣等民族」と発言。批判を浴びのちに撤回したが、日ごろテレビに出演し、言葉を生業にする者として、見解を伺いたいところだ▼与党の過半数割れが現実になった。不記載、資金提供など敵失の感もあるが、議席増の野党は首班指名にどう臨むか。一方、過去2回の苦い経験は味わいたくない自民党。ここでもまた「政界一寸先は闇」の言葉が浮かんできた。