最近の活字離れからか「灯下親しむ」との言葉は聞かれない。関連して、文化の日を前後にした読書週間が9日で終わる。こちらも大した読書家ではないが最近、2年前に急逝した芥川賞作家西村賢太さんの著作を読みふけっている▼突然の一家離散から進学をあきらめ、日雇い仕事でその日の糧を得るなど、その作家人生は未完の私小説『雨滴は続く』で完結している。破滅的ともいえる中で、西村さんが欠かさなかったのは読書という▼さて先の総選挙で躍進した国民民主党。時の人となった玉木雄一郎代表だが、ある週刊誌の広告見出しに「大平正芳元首相の生まれ変わり」などと記されていた▼その大平さんも政界一の読書家だったという。当時、訃報に接した浜田幸一衆院議員が「浜田君、本を読めよ。勉強しろよ」と生前諭されたことを涙ながらに語っていた。首班指名に臨む石破首相だが、政治の師田中角栄さんも若き日に小説家を志した人だった。