「社員は悪くありませんから」。1997年に山一証券が自主廃業を決めた際、当時の野沢正平社長が涙ながらに訴えた様子は人々の記憶に色濃く残っている▼いわゆる第三者委員会の始まりは、この時の損失隠しを究明するために設置された「社内調査委員会」とされる。何らかの問題が起きた際に、当事者以外の第三者を招へいし、実態解明を図ったり、再発防止策を提案したりする▼市水道局による平下平窪の配水管改良工事を巡り、誤った設計単価で入札が行われながら、最低制限価格と一致していた件で、「調査確認委員会」が立ち上がった。25日に報告書を取りまとめたが、記者会見では「捜査機関に情報を提供しているため」の一点張りで、職員に対するアンケートの設問すら答えないお粗末ぶりだった▼そもそも、この委員会は外部の専門家と弁護士の2人と、水道局1人を含む市職員4人で作られていた。市民はこうした行政の姿勢を、しっかりと見ている。
片隅抄