「男のくせに長髪にして。歌もうるさくて仕方ねぇ」と祖父はテレビに向かって嘆いた。時代は昭和。グループサウンズ全盛の頃だ。孫は「年寄りはこれだから」と渋々ボリュームを下げた▼その孫が長じて、今度はいま人気の若い歌手のことを、1人で売れる素材でないから十把一絡げのグループで売り出している、顔がどれも同じで見分けがつかない、歌詞が日本語としてなってない――と祖父と同様につぶやき、娘から「また始まったぁ」とこき下ろされている▼18日放送の「昭和の名曲グランプリ」は見ごたえがあった。『雨の慕情』『津軽海峡冬景色』など数え上げたらキリがない。筒美京平や阿久悠らがいて、イントロとメロディー、歌詞、歌い方それぞれが念入りに作り込まれ、1つの楽曲に物語が凝縮されている。だから平成から令和になっても埋もれずに輝きを放つのだ▼24日には後編が放送される。平成生まれの娘も夢中になってしまう名曲に浸りたい。