9年前の話だ。居並ぶ小名浜まちづくり市民会議の会員を前に、当時のドーム関係者が「いわきを東北一の都市に」と題して講演した▼「弊社の安田(秀一氏、現いわきFCオーナー)は震災後、3月19日に被災地支援のため、支援物資を車に積み込んで福島を訪れた。ガソリンが持つところまで。辿り着いたのが小名浜だった」。同社が示した未来予想図には、小名浜港に巨大なスタジアムがそびえ立っていた▼有言実行を貫き、新スタジアムの整備候補地を小名浜港に決めた、その決断を称賛したい。14年前、候補地には巨大な台船が打ち上がっていた。岸壁は落ち、そこかしこに瓦礫や泥が散らばっていた。絶望に打ちひしがれ、明日がどうなるかも分からず下を向いた▼当時、抄子をはじめ居合わせた誰しもが半信半疑で講演に耳を傾けた。絵空事だ、と。しかし熱く語る姿に次第に引き込まれ、信じてみようと思った。そこに、スタジアムが建つ。本当に感慨深い。