海水浴は、明治時代初期には「塩湯治」と呼ばれ、脚気治療に効果があると推奨された。外国では身心を鍛えるために行われていることもあり、日本全国に広がったという。いわき地方が海水浴でにぎわうようになったのは、現在の常磐線の開通がきっかけと、市が「いわきの『今むがし』」で紹介している▼震災前には80万人以上の入込客があったが、昨年度は3万5646人にとどまった。理由としては、熱中症警戒アラートが7回出されたことによる外出自粛や、8月中旬の台風による悪天候を挙げる▼もう30年以上も前の記憶だが、永崎海水浴場が多くの人でごった返していたことが懐かしい。周辺の家々が臨時駐車場の呼び込みをしていた▼その永崎も2022年、地元の意見を踏まえて廃止となった。今夏に開設される4カ所のうち、薄磯の鈴木幸長さんは「暑い夏にはやはり海が一番」と胸を張る。震災やコロナ禍を乗り越えたいま、再びの活況を期待したい。