船の科学館によると、平成にさしかかったころ、北米市場の急成長を受け、国内海運大手が相次いでクルーズ船に参入した。それまでは研修クルーズなどのチャータークルーズに特化していたが、欧米型のレジャークルーズに舵を切った▼戦前の豪華客船としては「氷川丸」が有名だが、それ以来途絶えていた伝統を復活させたのは、日本郵船による初代の「飛鳥」。1991年10月に三菱重工業長崎造船所で竣工した▼その3代目となる「飛鳥III」が20日に就航する。国内最大級の豪華客船として、総トン数5万2265t。目を引くのは、都道府県ごとの魅力を伝える47の客室「ASUKAⅢ―meets―47都道府県」だ▼福島県の部屋には、いわき市から田人町の磐城高箸が手がける「希望のかけ箸」が提供品として、浜通りの事業者として唯一選ばれた。飛鳥Ⅲは国内外から多くの人が利用するとあって、震災・原発事故からの復興を感じてもらいたい。