太平洋戦争終結からちょうど80年。こちらがまだ子ども時分、周囲の大人たちから当時の話を聞かされた。例えば食糧難で３日間何も食べられなかった、シベリア抑留で大変な思いをしたなど▼戦争とは過去のものではないと知らされたのが、１９７２（昭和４７）年、米国領グアム島で発見された元日本兵の横井庄一さんと７４年までフィリピン・ルバング島に潜伏していた小野田寛郎さんのニュースだった▼２人の帰国は大きな話題となった。横井さんの「カワズ（蛙）の卵を食ったら３日３晩、嘔吐と下痢に苦しんだ」との体験話を覚えている。一方、小野田さんは日本のスパイ養成機関「陸軍中野学校」出身が今も印象にある▼さて１５日から平のまちポレいわきで「市川雷蔵 刹那のきらめき」と題した特集が始まる。その一つに主演作『陸軍中野学校』が上映される。モノクロームの世界に浮かぶ雷蔵の非情さと哀しみがスクリーンから伝わってくる。
