わが国の昨年の平均寿命は男が８１・０９歳、女は８７・１３歳（厚労省調べ）。おくやみ情報の享年を見ると９０歳以上が大半なので、もう少し高いかなと思っていた▼寿命がもっと低かった昔は百歳賀寿の記事も大きく扱われていたが、今はシンプルになっている。これも超高齢化の表れだろう▼５歳刻みで行われるマスターズ陸上で男子（１００～１０４歳）百ｍの世界記録は２６秒９９だそうだが、運動不足の若者より体力のあるお年寄りも珍しくない。スポーツだけでなく、さまざまな仕事場で、病気もせず元気に働いている『現役』の高齢者には頭が下がる▼もちろん、そういう人ばかりではない。わが母親は９６歳になるが、２４時間の介護が必要な状態になって、現在は施設で暮らしている。感情表現を忘れ、もはや会話も成り立たない状態で、食べて寝て過ごすだけ日々。「生かされている」姿を見るのは家族としてしのびない。長寿とは何だろうと思う老人月間の９月である。
