本当に長いシーズンだった。混戦の終盤戦は薄氷を踏むような試合の連続。ヒリヒリとする局面が続く中、望みを捨てず前を向く選手たちには幾度も勇気をいただいた▼惜しくも昇格プレーオフには手が届かなかったが、仙台との最終戦で決勝点を決め、ピッチにあおむけになった五十嵐聖己選手の表情がとても印象的だった。やった、やりきった。そして最後まで声を振り絞り、勝利を後押ししたサポーターの声援もたのもしかった▼設立『わずか』10年で東北一の強豪相手にこんな試合ができるなんて、当時は想像もつかなかった。記者を続け30年近く、「いわきにJチームを」との取材を幾つもしては夢へと消えていった。苦しみながら震災報道を続けてきただけに、震災を機に立ちあがったいわきFCへの思いは強い▼記事では幾度も『らしさ』という表現を使ったが、今季ほど『らしさ』が出たシーズンはない。来季はどんなサッカーをみせてくれるか、楽しみだ。