20世紀の英国を代表する彫刻家、ヘンリー・ムーアによると、人体の基本となるポーズは「立つ」「座る」「横たわる」の3つであるという▼ムーアの作品を世界有数の規模でコレクションする彫刻の森美術館(神奈川県箱根町)が説明する。中でも横たわる人体像は自由が利くと同時に安定性もあって、しばしば取り上げることになったそうだ▼絵画や彫刻の分野はてんで疎いが、市立美術館の正面にムーアの「横たわる人体・手」が鎮座していることは知っている。市民運動をきっかけに立ち上がった美術館として、パブロ・ピカソやアンリ・マティス、アンディ・ウォーホルなど、世界に名だたる作品も収蔵している▼当たり前に思われがちだが、この財産を訪日外国人(インバウンド)に生かさない手はないだろう。いわきに行けば、20世紀を象徴する多彩な作品が観賞できる――。そこに温泉や常磐ものの魅力を掛け算すれば、他の街に勝る強みができると思うが、内田市長、いかがですか。