いわき湯本高校野球部の21世紀枠による春のセンバツ初出場の夢ははかなく消えた▼最終選考へ、東北地区から候補として選出されたのは宮城県の県立名取北高校だった。同校OBでプロ野球の170勝右腕・岸孝之投手(西武―楽天)が高校進学の際、有名私立からの勧誘を蹴って自宅から近い、長髪可で自由な雰囲気の無名公立校を選んだというエピソードが面白い▼負けたら終わりの夏の選手権大会と異なり、主催者が招待する春のセンバツは県大会や支部大会で敗れても望みがあるほか、この21世紀枠や明治神宮大会枠、廃止された希望枠など独自の選考基準を設けている。震災や台風、大雪など自然災害を克服したり伝統ある進学校などが選ばれるケースが多いが、それでも望みはある▼県内の高校では野球の聖光学院、サッカーの尚志、駅伝の学法石川など私立の牙城を崩せない競技がある。頑張っている公立校に救いの手を差し伸べる手だてはないものだろうか。