いまも自宅のテレビで偶然見た映像が忘れらない。2011(平成23)年3月12日、東京電力福島第一原発1号機が水素爆発を起こした様子だ。奇跡的に福島中央テレビの情報カメラの電源が維持され、建屋が吹き飛ぶ様子を放送できた▼ただ水素爆発の情報はすぐには広がらなかった。我が家は東京のキー局も映るが、ザッピングしてもどこも扱ってなかった。いまほどSNSが発達した世の中でもなかったので、仮に福島中央テレビが速報しなければ、もっと深刻な状況だったかもしれない▼19年に郡山市にある福島中央テレビの本社を取材で訪れると、水素爆発をとらえたアナログカメラが展示されていた。自慢するわけでもなく、淡々と水素爆発の事実を伝えたと紹介されていた。ただそこはかとなく、テレビマンとしての矜持がにじんでいた▼原発事故の発生から15年。溶け落ちた燃料(デブリ)の取り出しは進んでない。伝えることの重みを改めて感じる。