著 者:柚月 裕子
出版社:集英社
価 格:968円(税込み)
後輩に捜査協力しながら事件の真相追う元警察官
警察官を定年退職した神場智則(じんばとものり)は妻の香代子と共に念願の四国遍路の旅に出ていた。
その道中の宿でふと耳にしたニュースは神場を驚愕させた。それは神場が在籍していた群馬県警管内で起きた事件で、岡田愛里菜ちゃんという小学一年生の少女が行方不明となり、のちに遺体となって発見されたというものだった。神場にはずっと忘れたくても忘れられない事件があった。それは16年前に起きた当時6歳だった金内純子ちゃん殺害事件で、今回の事件と類似していた。
刑事時代の後輩からアドバイスを求められ、お遍路の旅を続けながら事件の真相を追う神場。旅の途中で出逢った人々との交流、蘇る刑事時代、駐在時代の出来事、さらに昔の少年時代の記憶…そして明らかになる事件の真相とは?
いわゆる警察小説とは一風変わった形で進む物語で、旅の情景に思いを馳せつつ重厚なストーリーが展開されていきます。「警察小説」という固定概念に囚われず読んで頂きたい1冊です。
(鹿島ブックセンター勤務)
※紹介する人:上野台麻子さん