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ボタニカルアート

いのちを描く(エノキタケ)

期せずして新年の贈り物が

 エノキタケは、スーパーなどで売られていて私達には身近な食材だ。
 その白く細長い形は光を極端に遮蔽した環境で育てられた結果であって、野生下で育った実物は茶色の傘と真っ黒い柄を持つ野趣味に溢れたキノコである。晩秋から早春にかけて各種広葉樹の切り株や枯れ枝に固まって生える。その貴重なキノコが我が家の庭にまた生えた。
 「また」というのはもう10年以上も前になるが、庭の南面に植えてあるスイフヨウの根元に生えたことがある。小さな株だったが、何年間も観察が済んだキノコを捨てても全く何も生えてこなかった我が庭に初めて生えたキノコとして特筆すべきエノキタケだった。
 その後エノキタケは姿を現さなかったが、今回再び現れたのだ。今度は東側に植えてあるムクゲの根元である。毎年綺麗な花を付けていたムクゲだったが、ここ数年は根元付近に腐食が目立ってきていた。まさかエノキタケが巣食っていたとは知らなかった。
 傘の色が若干薄いように見えたが、胞子や組織などを見ると正真正銘の本物だった。両手で持ってみるとこぼれるくらい大きかった。記念に描いた。新年の贈り物として有難く頂いたのはもちろんである。

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