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ボタニカルアート

いのちを描く(アジサイ)

多彩な色もつ雪洞のような花

 入梅間近になるとアジサイが目に付くようになる。青色や紅色の雪洞のような花が見られるのももうすぐだ。
 アジサイは、日本原産のガクアジサイの園芸品種で、現在では改良によって多種多様の色・形のものが市場に出回っている。我が家にも時期になるといろいろな色の鉢物が届くことがある。今までに数種のアジサイが到来したが、青藍色やエンジ色、淡いピンク色などもあった。今年もまた一鉢が到来した。
 それは初めて見る色合いで「万華鏡」と名前が付いていた。アジサイの花は、花と見えるのは実は咢が変化した装飾花で、本当の花は蕊を持つ極めて小さい粒状の両性花だ。ところが今回の花には両性花がほとんど無く装飾花のみで、その花弁の一枚一枚に青藍色の縦筋が入っていて、4枚の花弁が合わさるとちょうど十文字に見える。同じ図柄のシンメトリーが繰り返される「万華鏡」のネーミングがぴったりだと感心した。
 また地植えにすれば人の背丈ほど大きくなるアジサイだが、この鉢では花が20㌢もある大輪なのに高さは30㌢ほどの背丈の矮性に抑えられていて、しかも7房もの花が1本の茎から枝分かれして咲いている。ほとんど芸術作品とも見える仕上がりに、育てる手数と熱意を思って感心した。

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