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ボタニカルアート

いのちを描く(コカンバタケ)10月7日掲載

平成10年に確認した希少種

 コカンバタケは、大きな子実体を作るツガサルノコシカケ科カンバタケ属のキノコである。傘径17㌢ほどになり、中には20㌢以上になるものもある。傘表面は茶色でビロード状、押すとふかふかしてホットケーキのようだ。6~7月、ミズナラの枯れ木の根際に生える。国の準絶滅危惧種に指定されている。
 このキノコが市内で確認されたのは平成10年のことで、発足したばかりの「いわきキノコ同好会」の吉田健二会員が初めて採取した。当時、会の副会長だった斉藤孝氏が調査を進め、自ら採取した個体を森林総合研究所の服部力博士に送り同定を依頼、「コカンバタケ」との鑑定結果を得た。以来、会の観察会ではコカンバタケの採取が続き、本年8月までに20回の採取を数えている。
全国的には稀な菌で、各県のレッドデータブックに記載されているのは数県のみであり、福島県においてもいわき地区だけの採取例しかない。発生期が梅雨時期で人目に付かないこともあって採取事例が少ないのかもしれないが、いわきを代表するキノコとして注目に値する。因みに極めて大きくなるので発見の喜びは味わえるが、食用としては不適である。
(ボタニカルアートの世界:冨田武子)

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