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いわき昆虫記

ふるさと自然散策・いわき昆虫記112

初冬の野でモズの標的に

 晴天の暖かな陽気に誘われて、平四ツ波地内の里山へ出掛けてみた。
 到着早々聞こえたのは、ヒヨドリの鳴き声。その騒々しい歓喜の叫びは、甘い柿の実にでもありつけたのだろう。草むらではコオロギが鳴き、収穫を終えた田圃の上空をテントウムシが飛び、ウラナミシジミやツマグロヒョウモンが舞っている。雌雄連結したアキアカネが水溜りで産卵する姿は、とても冬の季節を迎えているとは思えない。
 あたりを散策して来たところでモズが鳴いた。「キチキチキチキチ、キョンキョン」と甲高い高鳴きは、縄張り内に侵入した私を威嚇しているのか。そこで目にとまったのが、田圃を見おろす林縁の木の枝に突き刺されている緑色のバッタだった。体長4㌢ほどのバッタ科「コバネイナゴ」が胸部と腹部の継ぎ目から枝に刺さり、翅が乱れ、まだ生きている。頭上で鳴くモズの仕業に違いない。
 猛禽類でもあるモズには、餌の少なくなる冬に備えて、捉えた獲物を縄張り内の木の枝などに串刺しにして貯食する「モズの早贄(はやにえ)」を作る習性があり、その標的になったのが地面を徘徊していたコバネイナゴだったのだろう。
 コバネイナゴは、初夏の頃に土中の卵から孵化し、イネ科植物を食べて育つ。そのため水田などの農地では農業害虫として扱われる。脱皮して夏に翅のある成虫になったものは動きも敏捷で、ヒトが近づくとクルリと葉の裏へ回り込み、強靭な後肢で跳ね、翅を広げて飛ぶ。
 初冬の野にも、まだ多くの成虫が生存しているが、冷え込む夜間は仮死状態、太陽光線で温まりカサリと音を立てて動くと、モズが舞い降りて早贄となる。

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