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いわき昆虫記

ふるさと自然散策・いわき昆虫記105

黄昏時に飛ぶ青緑色の輝き

 好間町地内の福島県自然環境保全地域「好間川渓谷」を散策した。好間川の清流が深く刻んだ「Ⅴ字谷」は自然豊かな別世界。美しい新緑の季節を迎えていた。
 ヤマブキやヤマツツジ、フジの花が咲き誇り、彩り豊か。渓流をカワガラスが行き来し、カジカガエルが「フィフィフィフィ、フィフィフィー」と美声を奏でている。今や準絶滅危惧種のカジカガエルの鳴き声を聞けただけでも大きな成果だが、昆虫はどうだろう。
 水辺近くに生えた純白のウツギの花が虫を誘い、私をも誘惑していた。さまざまな蝶が飛来している中でもひときわ目立っていたのが、体長3㌢ほどのセセリチョウ科の「アオバセセリ」だった。
小さな蝶なのに目にとまったのは、絶えず敏捷に動いていたから。ウツギの花で吸蜜中も翅を小刻みに動かして落ち着きがない。同種が飛来すると、はるか上空まで追跡してから舞い戻る。自身の縄張りから追い払っていたのだろう。
 飛翔中に一瞬見せる翅の表面は青紫色で、吸蜜中に見せている翅の裏面は青緑色。ともにメタリック調のエキゾチックな輝きを放ち美しい。後翅の端にある橙色の大きな斑紋と黒い斑点が目立っているのは、頭に見せかけて天敵の目を欺く囮の紋らしい。これで命拾いするかも。
アオバセセリの幼虫は、沢沿いに生育するアワブキなどの葉を食べて育つ。好間川渓谷は生息地の条件が揃っている。
 V字谷の日暮れは早い。まだ陽は高いのに、ウツギの木が陰に入ってしまうと、賑わっていた昆虫もあっという間に撤退した。本来アオバセセリの活動は朝と夕。黄昏時に活発に飛ぶが、夕暮れの早いここでは、日中から活動していたのだろう。

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