いわき地方の秋を代表する「サンシャインいわき梨」について、高齢化による生産者数や栽培面積が減少し、産地規模が縮小していることが課題となっている。こうした現状を踏まえ、県や市、JA福島さくらは新たな栽培者の育成・確保に向けて、栽培に従事する人の意向や、園地データを調査しながら、産地としての話し合いを進めていく考えを示している。
11月30日には、小川町のJA福島さくら小川営農経済センターで、初のセミナーが開催された。先進事例として、山口県美祢市の秋芳梨(しゅうほうなし)の取り組みをリモートで学んだ。
県いわき農林事務所によると、いわき地方は江戸時代から梨の栽培が続く歴史ある産地という。現在は小川や平、内郷、好間地区の中山間地を中心に、いわき地方の農業を支える基幹品目に位置付けられ、水稲と併せて手がける農家が多い。
8月から10月にかけて、幸水・豊水・涼豊・新高の順に収穫され、サンシャインいわき梨のブランドを冠している。平成29年度からはベトナムへの出荷も始まり、現地の旧正月需要もあって、令和4年度は計4・0トン(豊水2・1トン、新高1・9トン)が輸出されている。
しかし梨栽培を巡る推移は減少の一途をたどっており、平成23年度の栽培面積45・6ヘクタール、生産者118人に対し、令和4年度は24・8ヘクタール、63人となっている。さらに令和3年度のアンケート調査によると、回答した生産者50人(回答率79・4%)のうち、6割近くが70代以上だったほか、4割が高齢化などによる規模縮小を検討しており、5人はすでに廃作を予定していた。
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