2023年が幕を開けた。新型コロナウイルス感染症は〝第8波〟を迎え、依然として終息の兆しが見えない。さらに物価高騰に円安、ロシアによるウクライナ侵攻と、市民生活にも影響を与える事象が続いている。こうした中で、市内の各種団体を率いる8人に、いわき民報社は今年の取り組みを聞いた。1日から3日間、4回にわたって紹介する。
<いわき商工会議所 小野栄重会頭>
過去12年間会頭を務め、東日本大震災から「いわきを世界に誇れる復興モデル都市にする」をビジョンを見据えて取り組んできた。しかし台風などありとあらゆる災害、物価高、コロナ禍と複数の事象が重なり、価値観や企業経営の変化に対応しなければならない激動の時代を迎えている。
5期目突入にあたり、我々に突き付けられた複合的な課題に挑戦する企業を支えようと「挑戦、シン化。そして未来へ」という「進化」「深化」などさまざまな意味を含むテーマを掲げた。
人材育成により深くかかわるいわきアカデミアの進化や、カーボンニュートラル人財に向けた「社会育成講座」を展開。即戦力を期待できるリーダーを育てたい。
大きな都市間競争を控え、いわきのブランド力を高めることも必要。JRいわき駅前の再開発など市街地再生が進められているが、幹事社として協力し、他の地域も追随する情勢を作り、若者に戻ってもらえる都市づくりにも挑戦したい。
昨年のいわきFCの躍進は素晴らしかった。商工会議所としても連携し、健康づくりや地域の魅力発信につなげたい。
<いわき市旅館・ホテル業連絡協議会 稲田幹夫会長>
宿泊業を取り巻く環境は厳しい。新型コロナウイルスも、落ち着いたと思ったら再び感染が広がることに頭を悩ませている。政府の観光振興策「全国旅行支援」も行われているが、思ったように効果が上がっていない現状もある。できれば人が動きやすい時期にこそ、こうした支援を展開してほしいと思っている。
しかし苦境にあえいでいても仕方がない。市旅連として一致団結して、この状況を乗り越えていかなければならない。
一方で今春に予定されている、東京電力福島第一原発の汚染水を浄化した後の処理水の海洋放出によって、生じる風評をどう払しょくしていくかという課題もある。特にいわき市の場合は海水浴のお客さまも多いので、安心につながるような発信に努めてほしい。
もちろん明るい話題もある。いわきFCがJ2に昇格したことで、さらなる宿泊の需要が見込まれる。またいわきアリオスとの提携を通じ、芸術鑑賞に来市した方に宿泊して頂ける枠組みを構築している。
今後も会の活動を深め、配宿をはじめとする市旅連に加盟するメリットを伝えていきたい。