東京電力福島第一原発の汚染水を浄化した後の処理水を巡って、関係閣僚会議が13日、東京・首相官邸で開かれ、海洋放出の開始時期について、「今年の春から夏ごろになる」との見通しが示された。政府は令和3年4月の基本方針で、「2年程度後に開始する」とのめどを提示していたが、初めて具体的な時期を明らかにした。
政府や東電は「関係者の理解なしには、いかなる処分も行わない」との考えを堅持しており、県漁業協同組合連合会(県漁連)をはじめ、漁業者の反対は根強いため、理解が得られるかは不透明な情勢だ。
福島第一原発では、処理水などを保管するタンクが、今秋にも満杯になるとされており、今後控える溶け落ちた燃料(デブリ)の取り出しに向けても、安全な廃炉作業の実現のため、政府と東電は海洋放出を実施すると決めた。
処理水は、原発で生じた汚染水に対して、多核種除去設備(ALPS)で浄化した水で、62種類の放射性物質の大部分は除去できているが、トリチウムだけは取り除くことが難しい。
海洋放出に当たって、東電は処理水に含まれるトリチウム濃度について、国の基準の40分の1(1リットル当たり1500ベクレル)未満になるよう希釈し、海底トンネルを通して、沖合1キロの地点から海へ流す計画を立てる。
放出口の周辺では日常的な漁はないほか、東電のシミュレーションによると、放水口真上付近のトリチウム濃度は、最大で1リットル当たり30ベクレル程度で、周辺に広がる過程で濃度は速やかに低下し、人の健康や水産物にほとんど影響はないとしている。
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