市は15日、公益財団法人日本数学検定協会(東京、高田忍理事長)、データミックス(同、堅田洋資代表取締役)の3者で、データを活用して付加価値を生む「稼ぐ力」の創出に向けた連携協定を締結した。
同協会は実用数学技能検定の実施に加え、数学力を踏まえたビジネス人材の育成も手掛け、データミックスはデータを分析し、社会課題の解決に生かす「データサイエンス」を専門としている。
こうした協定は全国初で、いわき市の教育・産業を発展させる狙いがある。将来的には官民一体の組織を形成し、次世代型産業を担う人材が生まれる好循環を目指していく。
協定にあたり、まずは市役所の政策立案や、地元企業の課題解決に共に取り組み、個々のスキルを向上させていく。さらに人材育成に向けて、市内の教育機関も交えながら、新たな組織「いわき版『データ・インテグラル・プラットフォーム』」を構築する計画だ。
机上で物事を考えるのではなく、いわき市を「学びの舞台」に、データを用いて、既存の農林水産業や観光などに加え、脱炭素社会の実現やAIといった次世代のテーマも含め、さまざまな社会実装を通じ、「稼ぐ力」へと昇華させるという。
同協会では「実践舞台があるからこそ、『問題発見力』と『デジタル自走力』が定着する」と強調し、いわき市の強みとすべき産業に合わせ、プラットフォームが展開できると自信を見せる。
締結式は15日、平字一町目のいわきワシントンホテル椿山荘で開かれ、内田市長、高田理事長、堅田社長によって協定書が交わされた。
内田市長は「世界がデータサイエンスの流れに行く中で、いわき市は製造品出荷額等が東北一に返り咲き、次はICT(情報通信技術)とどう組み合わせるかが求められる」と指摘。いわき市の若者が高卒段階で、約6割が市外に流出する現状に触れ、「魅力ある産業が構築されることで、地元への定着が期待される」と語り、企業誘致や業態転換、起業支援といった展望も示した。
また学力日本一を標ぼうすることから、数学力の向上はもちろん、コロナ禍で深まったICT教育の充実を図り、家庭と学校をつなぐ手段としても、3者の協定を生かしたいと述べた。
ニュース