市は2日、市内の図書館に関する統計として、「令和5年度 いわき市の図書館」を公表し、昨年度1年間の図書貸し出し冊数は全体で117万3709冊(前年度比19万5817冊増)となり、2年ぶりに100万冊台を回復したと明らかにした。前年度から増加に転じるのは5年ぶり。特に2020(令和2)、21年度は新型コロナウイルス感染症の感染拡大や、福島県沖地震の影響で、臨時での休館を余儀なくされたが、昨年度は通常通りの運営ができた。
統計を踏まえて、いわき総合図書館の担当者は「まずはコロナ禍前の水準に戻していきたい」と強調する。インターネットの普及や余暇の多様化もあって、全国的に「読書離れ」が指摘され、いわき市の図書館も例外ではない状況にある。
市内全体の図書貸し出し冊数は、2013(平成25)年度は161万6482冊あったが、少しずつ減少の一途をたどった上、コロナ禍が追い打ちをかけて、21年度には97万7892冊まで落ち込んだ。
人口1人当たりの貸し出し冊数は、昨年度までの10年間で見ると、14年度の4・96冊がピークで、昨年度は2・99冊まで下がっている。一方で21年12月から、電子図書館の運用を始め、新型コロナウイルスによる「新しい生活様式」に合わせた。
蔵書の充実は年々図られており、昨年度は計84万969冊(同1万4702冊増)で、13年度と比較すると、12万7952冊増えた。子どもたちの読書活動にも積極的にかかわる。学校や学校図書館との連携を強化しているほか、全蔵書の25・1%に当たる21万1130冊の児童書を有している。
特徴的な取り組みとしては、レファレンス(調査相談業務)を充実させている。国立国会図書館レファレンス協同データベースへの登録は79件で、被参照件数は22万140件に上る。レファレンス事例集「いわきの豆知識」の公開も随時行っている。
こうした点が評価されて、いわき総合図書館は11年連続で、国立国会図書館から御礼状が贈られている。ビジネス支援として、昨年度から、日本政策金融公庫いわき支店と連携し、創業相談会も始めた。
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