吹奏楽の全国大会「第71回全日本吹奏楽コンクール」(全日本吹奏楽連盟などの主催)の高校の部が22日、愛知県名古屋市の名古屋国際会議場センチュリーホールで開かれた。いわき市からは前半の部に、いわき湯本が現校名としては初出場(前身の湯本を含めると、2年ぶり15回目)を果たした。
惜しくも銅賞だったが、42人一人ひとりが丁寧に音楽を作り上げ、クリアなサウンドと圧巻のハーモニーで、聴く人を魅了する演奏を繰り広げた。高校の部には11支部の代表30校がエントリーし、前半・後半の15校ずつが独立して審査された。
今年の高校の部は、プロの音楽家と指揮者9人が審査員を務め、課題曲と自由曲を総合して、A、B、Cの3段階の評価をした。5人以上がA評価であれば金賞、C評価であれば銅賞、それ以外は銀賞と定めている。
本番では、課題曲「ポロネーズとアリア~吹奏楽のために~」(宮下秀樹作曲)と、自由曲「ピース、ピースと鳥たちは歌う」(伊藤康英作曲)を披露した。特に自由曲は、スペイン出身のチェロ奏者パブロ・カザルスが1971年、国連総会でカタルーニャ民謡「鳥たちの歌」をひいた史実から、戦争の愚かさや、平和を希求する思いが込められている。
作曲した伊藤さんもいわき湯本に称賛の声を寄せ、X(旧ツイッター)で、「繊細な表現、豊かな表情が素敵。生徒さんたちとても明るく和気藹々としたいいバンド。大好きです」と投稿した。
部長の上遠野尚也さん(3年)=チューバ=は「全国大会の舞台でやり切ることができました。2年前はコロナ禍のため、客席には関係者しかいなかったので、こんなにもたくさんの方の前で演奏できて幸せです」と充実感をにじませた。
目標は常に金賞と宣言してきたが、「一番はお世話になった方々に、感謝の気持ちを伝える演奏をすること。きょうはそれができたと思います」と話す。
指揮をする小山田浩教諭も、生徒たちと一緒にこれまでの思いをあふれさせた。ステージ上で力強くタクトを振ったが、「少し暴走したかな」とおどけてみせた。「みんな良く頑張ってくれた。きょうが一番の演奏です」。全国大会の演奏が何点か問うと、「普段は付けませんが、100点です」とたたえた。
コンクールゆえ、どうしても金・銀・銅の各賞は決まってしまうが、新たな「いわき湯高サウンド」は、間違いなく名古屋の地で堂々と響きわたった。
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