市は新年度から、文部科学省が示したガイドラインを基に、国の支援も念頭に置き、市内の産学官が連携した「いわき地域連携プラットフォーム(仮称)」の創設に動き出す。プラットフォームは、東日本大震災・東京電力福島第一原発事故からの復興の一環で、国内外の研究者が集う拠点として、昨年4月に双葉郡浪江町に整備された「福島国際研究教育機構(F―REI、エフレイ)」の知見を生かす狙い。市によると、行政が主体となるのは全国でも珍しいという。
エフレイに関する法定協議会「第2回新産業創出等研究開発協議会」が12日、同郡富岡町の同町文化交流センター「学びの森」で開かれた。エフレイの山崎光悦理事長、内堀知事、自治体の首長らが出席し、内田市長からいわき地域連携プラットフォームの考えが伝えられた。
産学官連携の取り組みは、市や大学、企業がそれぞれ展開する事業を横断させることで、相乗効果が期待されており、9日に内田市長が市の推進協議会で説明していた。
スタートアップと呼ばれる新興企業の支援、若者や女性の定着、首都圏のいわき市出身者のUターンを目指していく内容で、市では2024(令和6)年度から検討を始め、26年度から運用する計画の中で、新たに文部科学省が設定する枠組みとして「地域連携プラットフォーム」を利用する方針を明らかにした。
文部科学省では、産学官による地域連携プラットフォームを通じて、地域社会のビジョンや高等教育を取り巻く現状と将来像について共有・理解を図り、互いの立場を越え、恒常的に議論を交わすことを働きかけている。推進に当たってのガイドラインも策定し、これに即することで、国からの支援が受けやすくなる利点もあるという。
いわき地域連携プラットフォームは、市役所が事務局となり、関係機関を取りまとめる。市によると、行政が先導する事例としては、岩手県である程度とされている。県内では福島市で、福島学院大、桜の聖母短期大が事務局を務め、福島市産官学連携プラットフォームを構築している。
ニュース