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市教委「学校カルテ」刷新 多角的分析で裏付けある学習指導 県内初の試み

 市教委は公立小・中学校の児童・生徒が、エビデンス(根拠)に基づき学力が向上するよう、新たに「学校カルテ(学校・学級ダッシュボード)1・0」=通称・ダッシュボード=を導入した。
 ダッシュボードでは、全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)に加え、県が独自に実施している「ふくしま学力調査」や、市独自のアンケート(I―SUS=アイサス)のデータも活用し、多角的な分析結果が得られるほか、複合的な統計を交えながら視認性を高めたことで、自校の強みや、課題の背景の理解と改善を把握しやすくなった。県内初の試みとされる。
 内田市長は2021(令和3)年の就任以来、「人づくり日本一」を標ぼうする中で、教育のさらなる充実を図ってきた。昨年度からは退職校長をアドバイザーに、学力向上チームを設け、全国学力テストの結果をまとめた「学校カルテ」を基に、訪問指導を展開している。
 ダッシュボードも同じ目的で使われるが、全国学力テスト、ふくしま学力調査、I―SUSの3つから、教科学力・非認知能力・学習方略の主要な結果を取り出し、学校全体や学級別で横断的に分析している。
 単に平均点数が高い・低いにとどまらず、学級内での分布や、どのような質問が成績と相関関係にあるかも判断でき、有意義な教科指導につなげられる。専用ソフトで教職員が分析データを閲覧できるため、自主的な取り組みの加速も期待されるという。
 市教委ではダッシュボードの定着を図るため、本年度は10校で基礎研修を実施し、操作方法や複合分析の見方を伝えた。また2校で実践研修を開催し、各種データ分析を基に、学力向上や授業改善、小・中連携のあり方、校内研修等の方向性について検討するよううながした。
 現場からは、前向きな意見が報告された。ある校長は「これまで感覚として捉えていたものも、データが裏付けとなって立証でき、教職員の経験も生かしながら、データを活用していくことが大事であることが分かった」と話す。
 研修主任の教員からも「さまざまなデータを見ていく中、生徒の学習・生活状況のどういった部分が、学力に影響しているのかが分かった。経験則をもとにした指導に、エビデンスが加わることで、より具体的に、生徒に寄り添った指導ができる」との声が寄せられた。

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