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小名浜港の国際フィーダー航路 4年ぶり定期再開「県内の輸出入広く担う」
小名浜港から京浜港(横浜市など)を経由し、アジアや北米、欧州の主要港の間でコンテナを運ぶ「国際フィーダー航路」の定期航路が16日、4年ぶりに再開した。新たに運航するのは、内航船輸送サービスを全国展開している「鈴与海運」(本社・静岡市)で、週1回のペースで小名浜港に入る。歓迎セレモニーが同日、同港大剣ふ頭で開かれた。
国際フィーダー航路は京浜港や阪神港(大阪市など)に、海外からのコンテナを集約し、そこから地方の主要港につなぐ仕組み。国際競争力を維持するため、国土交通省が積極的に強化を図っている。
寄港したのは「ゆうあ」(749トン)。積荷は東南アジアから輸入した工業製品の原材料として、18本(40フィートコンテナ換算)のコンテナで、横浜港で積み替えして小名浜港に向かった。15日に入港し、16日に大剣ふ頭で荷下ろし作業を開始した。
歓迎セレモニーでは、県や市、地元企業・団体で構成される「県小名浜港利用促進協議会」の関係者の出迎えを受け、鈴与海運の鈴木英二郎代表取締役社長、ゆうあの福山修一船長らに花束や、いわき産コシヒカリ「いわきライキ」などが贈られた。
小名浜港では2020(令和2)年5月を最後に、別の船会社の都合で国際フィーダー航路の定期航路が中断。同協議会が新たな就航先を探したところ、鈴与海運が名乗りを上げた。現在は小名浜港から韓国・釜山港を経て、世界各国をつなぐ航路が設けられているが、時間がかかることから、京浜港に直接陸送する事業者も少なくないという。
一方で4月からトラックドライバーの時間外労働が規制され、輸送力不足が懸念される「2024年問題」に加え、脱炭素に取り組む企業が増える中で、小名浜港の定期航路の再開によって一つの解決策が示せる。いわき市が物流の拠点として機能するため、経済活性化も期待されている。
鈴木社長はこうした点を踏まえ、「コロナ禍では物流が寸断されたこともあり、海外に頼ると、有事の際に船が入れない事態も想定される。かつてはスポットで小名浜に寄港したことがあったが、今後は県内の輸出入を広く担っていければ」と語った。