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昨年9月の水害から半年 内郷で132世帯減 暮らしに不安のケースも
昨年9月8日午後から翌9日朝にかけ、台風13号の影響で県内初の線状降水帯が発生し、いわき市では内郷地区を中心に被害が出た豪雨から、8日で半年を迎えた。
被災した地域には当初の慌ただしさはなく、表面上は落ち着きを取り戻している。しかし内郷地区では、現在の暮らしに不安を覚えて転居するケースも増加しており、市内郷支所によると、昨年9月から今年3月にかけ、132も世帯数が減少した。
「今はまだ昨年9月並みの大雨こそ起きていないが、今年の梅雨や台風を心配している人が多いのではないか」と、内郷宮町3区の奥山昌志区長(79)は語る。前例のない線状降水帯とはいえ、同様の災害が再び発生した際、「安全に暮らせる保証はない」との不安が膨らんだことが世帯数減の要因のひとつとして考えられる。市内の災害公営住宅で仮住まいをするものの、入居期間を終えたあとの見通しが立っていない被災者も少なくないという。
一方、災害対策の〝共助〟として、自主防災組織の活動も活発になりつつある。市は1月の研修会で、来年度の自主防災組織の結成地区を77%にすることを自主防災関係者とともに決め、内郷地区でもハザードマップや地域防災計画の見直しを図りながら、組織活動の強化に取り組みたい考えだ。
内郷内町の内町2区防災部長を務める菅野昭夫さん(76)は、「防災活動の中で若い人がいたことに助けられた。防災組織が将来的に機能するためにも我々の世代で基盤を整えていきたい」と、公助に頼らず、自助、共助の重要性を再認識する。
ふるさとでの安心安全な暮らしを守るため、自主防災体制を次世代に残すためにはどうすべきか、試行錯誤の日々を過ごしている。
(写真:昨年9月の豪雨であふれた宮川)