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県内初 いわきで蜜源確保の取り組み進む「ハチミツを新たななりわいに」

 いわき市では養蜂振興の一環で、ミツバチが育つ環境を維持するため、県内で初めて蜜源を広げる植林や種まきが進められている。この取り組みは県養蜂推進協議会が、農林水産省の補助を受けて展開しており、本年度は田人町や平赤井にトチノキやビービーツリー(イヌゴシュユ)、ビワ、ソメイヨシノの苗木188本を植えたほか、遠野町や四倉町にレンゲの種80kgなどをまいている。今後は温暖な気候を生かして、ハチミツを新たななりわいにつなげていく。
 ミツバチは食と農業を支える生き物として、私たちの生活と密接な関わりを持つ。今年2月の農林水産省の発表によると、セイヨウミツバチの受粉による経済貢献額は全国で1801億円と推計され、イチゴやメロン、キュウリ、ナスといった果物や野菜の生育には欠かせない。
 しかし蜜源植物の面積は年々減少しており、2014(平成26)年には14万2300haだったが、22(令和4)年は9万9800haと、約7割となっている。県内も同じ傾向という。生態系の保全や食料安全保障の観点からも、蜜源が減ってしまうことは避けていきたい。
 もともといわき市は冬も暖かいことから、会津地方をはじめ県内外の養蜂家が、ミツバチを越冬させる場所に選んでいる。これら状況を背景に、同協議会では専門家の助言を受けながら、蜜源植物の確保に取り掛かることを決めた。
 同協議会の中心となっている「県養蜂協会」の浜通り支部・鈴木雅之さん(62)=バックス情報システム代表取締役=も積極的に参加し、田人町南大平の山林を提供した。かつては大学生が昆虫観察のフィールドワークに活用していたが、東京電力福島第一原発事故の影響もあって、長らくそのままにしていた。
 植樹に先立ち自ら伐根を手がけ、昨年12月から今年1月にかけて、苗木を植えていった。12日には同協議会のメンバー10人が現地を視察し、さらなる活性化に向けて決意を新たにした。
 「いわきの養蜂はまだまだ発展途上。可能性がある」と鈴木さん。同協会には138人が所属するが、浜通り支部の会員は8人にとどまり、中通りや会津がほとんどを占める。
 「微力ながら蜜源確保のお手伝いをすることで、小さくとも、いわきでもハチミツをなりわいにできたらうれしい」。社業の傍ら長年にわたって養蜂に携わる中で、ミツバチによる循環型のまちづくりを提唱する。
 同協会長の近藤義孝さん(68)も「いわきをきっかけに、蜜源確保の取り組みを県内全体に広げていきたい」と抱負を述べる。いわきを手始めに、農と社会を支える持続可能な養蜂が加速する。
 (写真:田人町南大平で行われた県養蜂推進協議会による視察)

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