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「気管挿管」容易に いわき発の技術で特許取得 医療センター、県立医大の医師と

 市医療センターと県立医大の医師、常磐の医療機器を手がける協栄テクニカが連携し、酸素を送り込むチューブを気管に入れる「気管挿管」を安全に行えるよう、新たな器具を開発して特許を取得した。従来の気管挿管は熟練した手技が求められていたが、この器具の先端にはカメラが取り付けられており、映像を見ながら容易に作業できる。医療過誤を減らせるほか、災害現場での活用も想定されており、いわき発の技術によって、より多くの人の命を救うことが期待される。
 新たな器具を手がけたのは、市医療センターがん集学的治療センター長・県産婦人科医会長の本多つよし医師と、県立医大災害医療支援講座講師の赤津賢彦医師で、協栄テクニカの千葉秀昭代表取締役社長に声をかけ、技術担当の高島敏之さんが開発に携わった。4人は21日、福島市の同大で記者会見し、今後の展望について語った。
 これまでの気管挿管では、喉頭鏡と呼ばれる器具を口に入れた後、目視も合わせてチューブを挿していたが、誤って食道や肺に入れたり、傷付けたりする事故のリスクがあった。
 新たな器具は内視鏡の技術を応用しており、モニターによって的確な挿管が可能。独自の材質を採用し、硬さと柔らかさを両立させ、折れ曲がっても断線することは無いという。高島さんは「器具の形状や構造の点で苦労した」と明かす。
 麻酔科医としてアイデアを持っていた赤津氏が、本多氏に相談したところ、旧知の協栄テクニカを紹介し、約4年をかけて実現した。昨年11月に国内での特許が認められ、現在は国際特許の取得を進めている。その将来性を踏まえ、県発明協会と福島イノベーション・コースト構想推進機構も協力した。
 本多氏は「誰でも簡単に気管挿管ができるようになるため、救急車やドクターヘリに配備できれば」と話す。将来的には自動体外式除細動器(AED)のように、救命の現場で一般化させることだ。
 開発のきっかけとなった赤津氏は「臨床の現場には、さまざまなアイデアがあふれている。麻酔科医として誤挿管をゼロにしたいという思いがあり、具現化できてうれしい」と述べた。
 本多氏、赤津氏、協栄テクニカの3者は、5年後の2029(令和11)年ごろを目標に、製品化を目指している。医療現場に採用されるため、広く賛同する学術機関や医療機関、各種企業の参加を呼びかけている。
 (写真:県立医大で行われた新たな器具と特許証の披露)

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