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赤井嶽の伝説もとに絵本原画制作 地元の幡野さん 5月5日に展示会
全国各地で伝えられている龍燈伝説。四倉には竜宮城、浦島太郎の伝説が残るが、1200年の歴史を誇る真言宗智山派水晶山常福寺(閼伽井嶽薬師常福寺)=上野宅正住職=に伝わる龍燈伝説は広く知られ、龍と村娘の恋愛物語にあやかり子宝、安産を祈願する市民が後を絶たない。
東京都八王子市出身で、赤井嶽の麓に移り住んだ幡野ゆりさん(38)は偶然、その美しい伝説を知り心を打たれた。〝いわきの宝〟として広く発信したいと願い、上野住職の理解を得、独学で磨いた絵画の腕を生かして絵本の原画を制作。5月5日には同寺で龍燈伝説をイメージした展示会を開く。
幡野さんは10歳のときに福島に移り住み、多感な時期を両親の実家のある田村市で過ごした。地元の学校を卒業し、郡山市に就職。結婚を機に常磐湯本町に居を構えるが、同じ年の夫は元々聴覚障がいを抱え、反対を押しての結婚だった。
子どもに恵まれ、閼伽井嶽薬師のほど近くに偶然移り住んだ際に出合ったのが、龍燈伝説。薬師如来の命を受けて赤井嶽の麓の村々を守ってきた1匹の龍が、村人との交流を望み青年の姿になり、娘と恋に落ちる。如来の反対を押して子を授かる2人の姿に、自分自身と夫を重ねた。
展示会では、絵本の原画をはじめ新旧作約20点を展示。交流を深めている、障がい者の創作活動などを支援する任意団体「はなのころ」(西山将弘代表)の所属アーティスト一匡(いっきょう)さんによる古代文字写経作品展示とお守り作りの体験、同団体メンバーの作品展示に加え、会津のマクラメジュエリ
ー作家「musubi工房『夕』」による作品展示が行われる。
入場無料。午前10時~午後3時で、午前11時からは幡野さんが作った絵本「龍燈物語」の読み聞かせもある。絵本はいまだ製本には至らず試行錯誤を続けているが、「この物語が『いわきの宝』として全国に広がり、閼伽井嶽薬師を訪れたくなるような呼び水となれば」と幡野さん。
展示会を通じて賛同・協力者があらわれることを願い、「老若男女が楽しめる内容。アートに興味のない方も来ていただきたいし、赤井嶽の自然の美しさを感じてほしい」と、来場を呼び掛けている。
(写真:来場を呼び掛ける幡野さん)