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小川郷駅 草野心平ちなんだ「群青色」の駅舎に 住民ら地域活性化意気込む
JR磐越東線の小川郷駅で進められていた新駅舎が完成し、「(大正4年に開業し、地元出身の詩人草野心平が利用した)木造駅舎の風合いや心平を感じさせるデザインにしてほしい」などといった地元住民の声に応える形で、心平を象徴する〝群青色〟で駅舎の壁を彩り、駅舎内には同駅の情景を描いた詩などが掲げられた。
以前の木造平屋建ての駅舎は、百年以上変わらぬ姿のまま、心平が生まれた小川地区の玄関口として住民たちに親しまれてきた。近年は、市立草野心平記念文学館や心平の生家を訪れる県内外の文学愛好家たちに利用されてきたが、老朽化などを背景に、度重なる協議の末、維持、管理上の問題から取り壊しを決定。昨秋から建て替え工事が進められてきた。
心平をはじめ、心平を慕う詩人で哲学者の串田孫一など、名の知れた文人たちが利用した往時の姿そのままを残していたことから、一部住民からは保存を望む声が強く、JR東日本では壁の色を、心平の作品群の中でたびたび使われ、心平が作詩した小川中の校歌の歌い出し「群青の天に」で使われた〝群青色〟に。
さらに、地域活性化に向けた活動に取り組む小川郷(さと)の会の要望に応え、心平が1942(昭和17)年10月、中国・南京から一時帰省し、小川郷駅に到着した際の情景を描いた詩「故郷の入り口」=旧駅舎解体前にホームへと続く地下道に飾られていた=と、旧駅舎に掲げていた駅名板を駅舎内に掲示した。
「せめてパネルだけでも飾ることができ、とりあえずホッとしている。駅舎の大小に関わらず、地域の活性化に向けて頑張りたい」と同会の草野充宏さん。心平のふるさと小川を象徴する駅舎として、この春、小川郷駅は新たなスタートを切った。
(写真:群青色に彩られた新駅舎)