ごうごうと燃え盛る炎に高く立ち上る黒煙、いつまでも鳴りやまない消防隊のサイレンの音。26日にいわき市平字田町の繁華街で発生した火災は、遠く小川町からも白煙が確認できるほどで、JRいわき駅付近の道路は交通規制が敷かれ、遠くから不安げに消火活動を見守る人だかりができた。
いわき中央署と平消防署では27日午前9時から、実況見分を進めている。出火場所は並木通りから2本南側に位置し、車が1台通れるほどの狭い「新田町通り」で、スナックなどの飲食店が建ち並ぶ。
付近のビルのオーナーを務める60代の男性は出火時に居合わせたといい、「缶スプレーが破裂するような音が聞こえたので、外を見てみると近くの建物から道に向かって火が噴き出ていた」。初めはそれほどではなかったが、風が強まっていくにつれて上にまで火が届くようになり、危険を察知して自身もビルから出て避難したほどだった。
火の手は強まり、炎は隣接する建物をものみ込んだ。思わぬ火災で店を失い、ショックを受ける関係者も。20年以上にわたり飲食店を経営してきた50代の女性は「生活の基盤がなくなって悲しい」とぼう然。「再建に向けて前進するしかない」と、強引に気持ちを奮い立たせたが、燃え盛る現場を前に肩を落としていた。
(写真:実況見分が行われている現場)
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