第106回全国高校野球選手権福島大会(県高野連など主催)は24日、福島市の県営あづま球場の第2試合で、磐城が粘る東日大昌平を振り切り、2-1で勝利した。
大会は27日に同球場で準決勝を行う。磐城は午前9時半からの第1試合で聖光学院と対戦する。磐城の夏ベスト4進出は23年ぶりだが、決勝に勝ち上がれば7度目の優勝をした1995(平成7年)の第77回大会以来29年ぶりとなる。
<磐城 自分のスイング貫き勝利つかむ>
先手をとったのは磐城。二回に四番の志賀映太(3年)がフルカウントからの8球目をとらえ左越え二塁打を放つと、続く主将の高橋由伸(同)が内野安打で続き、今泉岳陽(同)の犠飛で先取点を挙げた。
六回にも再び志賀映、高橋の連続安打でチャンスをつかみ、相手の捕逸を誘って貴重な追加点を挙げた。投げては先発・山田柊児(同)が1失点の無四球で完投した。
この試合4打数3安打で、自ら2度ホームインした志賀映は「ここからの戦いは(四番である)自分が打っていかなければならないと思っていた」。大会1週間前に左手首をひねるけがを負い、大会序盤はあまり調子を出せなかった。
しかし前回の二本松実戦から感覚を取り戻し、この試合では「打てる球を強く打つ、という自分らしいスイングができた」と表情をほころばせた。準決勝の相手は聖光学院だ。「聖光相手でも四番が打てば勝てる。自分のスイングでチームの勝利に貢献したい」と決意を語った。
<東日大昌平 意地の1点も及ばず>
ベンチに入れなかった選手たちがスタンドから声を合わせる「ホームラン! カッズッシ~!」のコールは東日大昌平応援団の名物だ。土壇場の九回表、2点差を追う東日大昌平の攻撃は三番の山口和志(3年)から始まった。
前の試合で長打2本を放ちチームの勝利に貢献、いわきを代表する〝打てる捕手〟の存在感を見せたが、この試合は3打席凡退。しかし「何としても自分が出てチームを盛り上げる」と誓った一打は、二塁へ執念の内野安打となった。
このあと山口は暴投の間に二塁へ進み、佐藤界翔(同)の左前安打で80kgを超える巨体を揺らして三塁を回ると、自分の姿が見えなくなるほど赤褐色の土煙を巻き上げながらヘッドスライディング。顔からスパイクまで土まみれになった代償に貴重な1点を手に入れた。
水戸の中学時代には、リトルシニア日本選手権で8強入りに貢献したした逸材。東日大昌平から甲子園を目指そうと入学したが、苦しいことも多かった。それでも最後に、応援に駆けつけた家族へ感謝のプレーを見せることができた。
(写真1枚目:四番の仕事を果たした志賀映=磐城 2枚目:土煙を巻き上げて生還した山口=東日大昌平)