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平下大越でコウノトリ発見 日本野鳥の会いわき支部 ツバメ観察で偶然に
4日夕、新舞子の夏井川河口(夏井川サイクリング公園)に近い、いわき市平下大越地内の水田に1羽のコウノトリがいるのを、たまたま「ツバメの塒(ねぐら)入り観察会」(日本野鳥の会いわき支部主催)を開くために公園の駐車場に集まった参加者たちが発見した。
コウノトリは世界的に個体数が少なく、日本では特別天然記念物に指定されている。全身はハクチョウやサギと同様に白色だが、コウノトリは羽の先端部分が黒いのが特徴。また赤い縁取りの鋭い目、赤い脚を持つ。日本書紀に登場するほど古くから日本人にとってなじみの深い鳥で、子宝や夫婦円満にちなむ伝説・信仰がある。
野生種絶滅後は、兵庫県豊岡市(市にコウノトリ共生課があるほど)での繁殖と野生復帰の取り組みが知られているが、東日本では栃木県小山市が渡良瀬遊水地でコウノトリ飛来とヒナ誕生を保護・推進、千葉県野田市にもコウノトリの飼育施設がある。
いわき市内では十数年前に今回の発見場所からほど近い平・高久地区の水田でも偶然確認された。福島県ではこれまで相馬市でも発見の報告があった。
今回のコウノトリは水田のあぜみちを行ったり来たりしながら、ザリガニやカエルなどのエサを捕食していたらしい。人慣れしているらしく、近くを軽トラックが通ったり、犬を連れて散歩中の親子が通りかかっても逃げ去る素振りは見せなかった。
同支部の立花博副支部長兼事務局長は「わたしも長いこと野鳥の観察をしているが、実際にコウノトリを見たのはこれが初めて」とびっくり。
個体識別の足環などを確認できなかったためどこから飛来したかわからないが、繁殖相手を探しに来た途中ではないかとみられている。立花副支部長は「このコウノトリがいわきにいる間は大事に見守りたい。野鳥を愛するほかの参加者にとっても貴重な体験だった」と話していた。
(写真:水田でエサを捕っていたとみられるコウノトリ)