いわき市と長崎市の中学生が交流する「いわき市・長崎市リーダー交流会」は5日、市観光物産センター「いわき・ら・ら・ミュウ」と、イオンモールいわき小名浜で開かれた。2011(平成23)年の東日本大震災・東京電力福島第一原発事故をきっかけに始まった事業で、新型コロナウイルス感染症による中止を乗り越え、今年で10回の節目を迎えた。今回は初の試みとして、長崎市の中学生がいわき市を訪れた。
リーダー交流会は、いわき市のキャリア教育として企画。市内中学校の生徒会長らが集まり、震災・原発事故からの復興に貢献する人材を育てる「いわき生徒会サミット」の一環で行われ、長崎市からの招待で続いてきた。
長崎市は原爆投下を受けた歴史から、平和教育や放射線教育が充実しており、いわき市の中学生には現地に行くことで、核兵器の廃絶と平和を希求する気持ちを高めている。こうした関係をより深めようと、新たに長崎市の中学生がいわき市に訪ねることで、震災・原発事故の実情や復興に関して学んでもらうことが決まった。他市の姿から、長崎の良さを見つめなおす狙いもあるという。
当日はいわき市、長崎市からそれぞれ中学生30人ずつが参加。いわき・ら・ら・ミュウでは「ライブいわきミュウじあむ」を訪れ、いわき民報社が提供した紙面や写真を含め、震災・原発事故当時の様子や、復興に向けての歩みに触れた。
昼食をはさんで取り組んだワークショップでは、ら・ら・ミュウとイオンモールを回りながら、防災関連の展示や工夫を両市の中学生が班ごとに確認。各グループでCMとしてまとめた。生徒たちは互いに意見を交わしながら、安心・安全なまちのあり方や、災害への備えについて考え、班ごとにそれぞれの思いを披露した。
長崎市の中学生は3日から県内入りしており、4日には国道6号沿いの原発事故による帰還困難区域を通った後、双葉郡浪江町の震災遺構・請戸小、双葉町の東日本大震災・原子力災害伝承館、富岡町の特定廃棄物埋立情報館「リプルンふくしま」を見学し、原発事故の災禍を直に目の当たりにした。
7日からはいわき市の中学生が、3泊4日の日程で長崎市に赴く。被爆にまつわる学びを進め、参加型平和学習「青少年ピースフォーラム」にも出席する。また原爆が投下された9日には、地元の中学校を訪問して平和祈念集会に加わる。
(写真:震災に関する展示を観賞する中学生)
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