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岸田首相が総裁選不出馬表明 裏金事件踏まえ「最初の一歩は私が身を引くこと」
岸田文雄首相(67)(自民党総裁)は14日午前、首相官邸で記者会見し、9月に予定される党総裁選に出馬しない考えを表明した。2021年10月4日の首相就任から、約3年で退陣する。自民党派閥の政治資金規正法違反事件で内閣支持率は20%台で低迷が続いており、党内に広がる退陣論に応じざるを得ないと判断した。
首相は不出馬を決めた理由について、自民党派閥の政治資金規正法違反事件を受け、自ら派閥解消や同法改正などの政治改革に取り組んできたことを挙げた上で、「残されたのは、自民党トップとしての責任だ。もとより所属議員が起こした重大な事態について、組織の長として責任を取ることにいささかのちゅうちょもない」と説明した。「当面の外交日程にひと区切りがついた時点で、私が身を引くことでけじめをつけ、総裁選に向かっていきたい」とし、「自民党が変わることを示す最も分かりやすい最初の一歩は、私が身を引くことだ」とも語った。
次の総裁に関しては「政治とカネの問題について、一連の改革マインドが後戻りすることがないような方であってもらいたいと感じている」と述べ、「選ばれた総裁は、今度こそ『オール自民党』でドリームチームを作り、信頼回復に向けてしっかりと取り組んでほしい。そのための決断でありたい」と語った。
総裁任期は1期3年で、9月30日に満了する。後継を選ぶ総裁選は党の規定に基づき9月20~29日のいずれかが投開票日となる。衆院議員の任期満了(来年10月30日)を約1年後に控える中、次期衆院選を見据えて「党の顔」を選ぶ意味も持つ。新総裁は国会の指名を経て、次期首相に就任する。
現時点で、総裁選への出馬を正式に表明した候補はいないが、首相の不出馬表明を受け、動きは一気に活発化しそうだ。河野太郎デジタル相(61)が出馬の意向を固めているほか、茂木敏充幹事長(68)や、高市早苗経済安全保障相(63)、石破茂・元幹事長(67)が出馬に意欲を示している。党内には知名度の高い小泉進次郎・元環境相(43)に期待する声や、中堅・若手を中心に小林鷹之・前経済安全保障相(49)を推す動きもある。(読売新聞社配信)
(写真:総裁選不出馬を表明する岸田首相=14日午前11時30分、首相官邸=川口正峰撮影)