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東日本台風で浸水の平窪駐在所5年ぶり再開 着任の高木巡査部長「住民に寄り添う」

 記録的な大雨で河川が決壊・氾濫し、関連死を含めて14人が亡くなった令和元(2019)年の東日本台風を受け、県警は浸水被害に遭ったいわき中央署平窪駐在所を平下平窪一丁目に移転・新築し、26日から業務を再開させた。
 これまでは内郷御厩町の同署を拠点に、平窪や石森地区を管轄しており、駐在所での業務は5年ぶり。開所式では赤井駐在所から就いた高木幸司巡査部長(40)が、復興に向けて歩みを進める同地区の治安維持とともに、住民たちの安心安全に向けて意気込みを語った。
 平窪駐在所は1895(明治28)年、旧平窪村大字中平窪に新設された平警察署四倉分署平窪巡査駐在所が始まりで、いわき中央署発足後の1981(昭和56)年に平下平窪三丁目に移った。平窪地区をはじめ、近隣の治安維持に加え、住民たちのコミュニティを形成する場として親しまれてきたが、東日本台風に伴う夏井川の氾濫で床上約1mまで浸水した。
 被災後はいわき中央署本署を拠点に、地域へ向かう形で業務に取り組んできたが、住民たちの声などを受けて駐在所を新築することを決め、昨年9月に旧駐在所から南約300㍍の場所で着工した。
 今月9日に引き渡された。真新しい駐在所は木造2階建てで、車いすでも訪れやすいようスロープを設けるなどバリアフリーに配慮、浸水対策として地面から約1mほどのかさ上げを行った。
 26日の開所式には、県警関係者と地域住民ら約50人が出席。斎藤秀幸署長が「駐在所移転を契機に、今後ともさらなる治安維持の強化を図っていきたい」とあいさつし、下山田松人副市長、鈴木俊弘平窪地区振興委員会長(中平窪区長)らが祝辞を述べたあと、テープカットを実施。門出を祝い、県警音楽隊の演奏も披露された。
 高木巡査部長は東日本台風の発生当時、平窪駐在所の片づけや引っ越し作業に尽力。被災当時の地域住民の苦労について理解を深めてきただけに、「地域住民の皆さまに安心安全を提供し、『まちの駐在さん』として寄り添って勤務していきたい」と意気込みながら、巡回を進めて〝高齢者が早めに避難することができる意識付け〟に取り組んでいきたい、などと抱負を示した。
 駐在所の再開に喜ぶ住民は多く、近くに住む70代の男性は「やっぱり地域に駐在所があるのは、住んでいる身として安心できる。これからも気軽に相談できる駐在所になってほしい」と期待していた。
 (写真:移転・新築した平窪駐在所を前にする高木巡査部長)

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