いわき市の2022(令和4)年の製造品出荷額等が1兆388億1215万円(前年比1037億7264万円増)となり、08(平成20)年以来14年ぶりに1兆円台を回復した。市産業みらい課によると、業種問わずに伸長しており、担当者は「リーマンショックや東日本大震災の影響に加え、新型コロナウイルスの感染拡大を乗り越え、市内企業の生産活動が回復してきた」と話している。東北地方の自治体では仙台市の1兆1176億8935万円に次いで2番目。
自治体ごとの製造品出荷額等は、経済産業省の「経済構造実態調査」によって取りまとめられている。統計の対象となる事業所は、2020年までは「従業員4人以上」だったが、21年からは「全事業所(従業員3人以下の事業所も含む)」となったため、単純な比較はできないが、いわき市は09年から8千~9千億円台で行き来した。
2022年の内訳として、最も占めるのは化学工業の2763億9150万円(26・6%)で、情報通信機械器具製造業1473億3227万円(14・2%)、金属製品製造業766億7433万円(7・4%)、非鉄金属製造業574億6332万円(5・5%)となっている。
製造品出荷額等は、出荷や加工によって得た収入額の合計。いわき市は化学薬品などの素材型産業と情報や輸送機器などの組立型産業がバランスよく展開されており、コロナ禍で他市が落ち込む中でも堅調に推移。特に2020年は物流の滞りで他市が部品調達に苦慮したことから、仙台市を抜いて東北一だった。
市では引き続き産業振興に力を入れる方針で、補助金の充実や積極的な企業誘致を通じ、地元への新規雇用・若者定着を図っていく。
(グラフ:製造品出荷額等の推移)
ニュース