いわき市総合防災訓練は16日、市内一円で実施された。三陸沖を震源とするマグニチュード(M)9・0の地震が発生した――との想定で、地域住民や自主防災会、関係機関の約1500人が臨んだ。東日本大震災や東日本台風、昨年9月の豪雨災害を受け、「『逃げ遅れゼロ』『災害死ゼロ』を目指して」「『災害対応のじぶんごと化』へ」をテーマに、自助・共助・公助のそれぞれのあり方を確認した。
訓練では東北初の試みとして、四倉地区の公道で電動小型モビリティを活用し、津波から逃れる方法を検証した。東北大災害科学国際研究所、トヨタとともに、国道6号やJR常磐線の踏切を渡りながら、いかに安全に移動できるかを実際に行った。
参加した上仁井田地区で行政区長を務めていた渡辺正美さん(77)は「思っていたよりも安定して走ることができた。災害弱者の方の避難の手段として良いのではないか」と話していた 一連の内容については、福島高専が交通渋滞などの課題を分析して最適な避難行動を導き、12月に開催される「第3回高専防災減災コンテスト」で発表する。
また陸上自衛隊の協力を受け、いわき市初となるヘリコプターによる孤立集落への支援物資輸送訓練も展開した。
陸自神町駐屯地(山形県東根市)の第6飛行隊所属から、藤間中グラウンドにヘリコプターが駆け付けると、市と災害時の協定を締結するヤマト運輸、佐川急便の車両が届けた支援物資を運び入れた。支援物資は紙おむつ2箱、食料など段ボール10箱などで、約20分の作業で同校を飛び立つと、川前町下桶売の旧桶売小・中に向かった。
このほか新常磐交通と連携し、路線バスを使った津波からの避難などを繰り広げた。
(写真1枚目:踏切を渡る電動小型モビリティ 2枚目:ヘリコプターに積み込まれる物資)