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教員目指す生徒たち後押し いわき市教委 磐城桜が丘高と連携で実践的経験提供
全国的に公立学校教員の志願者が減少している中で、市教委では磐城桜が丘高と連携し、生徒たちに将来のビジョンを示す試みを進めている。同校は県教委による高校普通科の特色化の一環で、2023(令和5)年度から教育コースを設定し、教員を目指す生徒を後押ししており、市教委は教員研修や各種会議への出席、授業の助手などの実践的な経験を提供している。こうした事業は県内唯一という。
県教委によると、25年度の県公立学校教員採用候補者選考試験の志願状況は、養護教諭を除いて前年を下回っており、把握できる範囲で過去最低を更新。前年度から0・4%減の1742人で、うち小学校は396人(前年比2・2%減)、中学校は588人(同3・9%減)となっている。
なり手不足の背景には、教員は多忙という印象が色濃く、SNSをきっかけに教育現場は「ブラック」とする指摘が広がったことが要因の一つに挙げられる。公立学校の教員は時間外労働の形態が特殊で、残業代の代わりに給料月額の4%を「教職調整額」として上乗せ支給することが、教員給与特別措置法で定められている。
なおいわき市の公立小・中では情報通信技術(ICT)の活用に加え、本年度からは休日部活動の地域移行が始まるなど、教職員に向けた働き方改革を展開している。
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市教委と磐城桜が丘高による取り組みでは、10月から中学校での授業参加を行っている。同校教育コースの2年生25人が平三中や平一中に足を運び、中学生と向き合う機会を設けた。
平三中では交流学習として、2~3人の単位で各クラス担当の「スモールティーチャー」に就き、中学生に対して解答添削や課題解決の個別支援、理科の実験の手伝いなどを展開。若手教員との懇談会にも臨み、仕事のやりがいや心構えを直に聞いた。
平一中では5クラスに分かれ、実際に教壇に立った。教員役の高校生が中学時代の話をしたほか、グループごとの質問に応じた。一連の活動に対して、「さらに(教員への)意欲が高まった」「中学生から頼りにされて自信になった」「教員のやりがいをより身近に感じることができた」といった意見が寄せられた。
服部樹理市教育長は「職業選択に向けての考えが、より明確になったと思う。さらに授業を受けた中学生にとっても、年の近い高校生から話を聞くことで、進路に対するイメージが深まる相乗効果が生まれた」と述べ、引き続き実施していく方針を示した。
(写真:グループワークに臨む磐城桜が丘高の生徒)