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いわき市出身の片倉惇さん 能登描いた映画の音楽手がける「復興の力に」
昨年5月の震度6強に続き、今年1月に能登半島地震に遭った石川県珠洲市で、被災直後の町の様子や復興に向かって歩き始めた人々の姿を描いたドキュメンタリー映画「凪が灯るころ~奥能登、珠洲の記憶」(制作Misty Film)が先ごろ完成し、全国のミニシアターなどで上映が始まっている。
作中の音楽を手掛けているのが、いわき市出身の音楽プロデューサー・作曲家の片倉惇さん(38)=JunMusic代表・静岡県三島市=だ。12月中は3日午後8時~の湯本駅前ミニシアターkuramoto(クラモト)を皮切りに、いわきPITを含め2会場で同作が上映される予定で、片倉さんは来場を呼び掛けている。
片倉さんは磐城高、国立音楽大卒。幼いころからピアノに親しみ、小学生時代は作曲に挑戦するワークショップで打楽器の五重奏曲を完成させた。こうした成功体験や、情熱を燃やした磐城高吹奏楽部の経験が、現在の仕事の原動力になっているという。
仕事では作曲家、音楽プロデューサーとして複数のテレビCMや映画、映像作品に楽曲を提供。現在は多方面の専門家とチームを組んで、目に見えない「音のデザイン」方法を言語化し、社会に「音」の新しい活用法を提案している。2021年の東京オリンピックでは公式ショップの空間音響デザインを手掛けた。他に企業のPRやアーティストとのコラボレーション、公共事業、子どもたちへのワークショップなど活動の幅を広げている。
ドキュメンタリー映画は有馬尚史監督が昨年5月の地震直後から奥能登に入り、復興に向かう人々の姿を記録したもの。伝統の「キリコ祭り」を途絶えさせまいと奮起する人々の姿を描いた。有馬監督は今年1月、撮影のため現地滞在中に大地震に見舞われた。その後、撮り直しや再編集を経て、映画を完成させた。
一方、片倉さんは1月の地震で「輪島塗」の職人だった友人を亡くした。道半ばで犠牲になった友人に報いる気持ちに加え、2011(平成23)年の東日本大震災を経験したひとりとしても、「石川県の復興の力になりたい」と考え、友人を介して出合った映画制作チームに合流した。
動画投稿サイトで冒頭部分を公開している<こちら>。
上映スケジュールは次の通り。
◇湯本駅前ミニシアターkuramoto▽3日午後8時~▽10日午前10時~▽12日正午~▽17日午後8時~▽19日午後6時~(感想会)◇いわきPIT▽11日午後4時~▽18日午後6時半~(舞台あいさつ)▽25日午後1時半~
(写真:作品に対する思いを語る片倉さん)