有機農業や自然栽培、いわゆる〝環境保全型農業〟に取り組む、いわき市南部地区を中心とした生産者らでつくる研究会「いわき農Limit(リミット)」(会長・安島美光あじま農園代表)が主催した、生産者と消費者の交流会が14日、勿来町の農産物直売所「そのふぁ」で初めて開催された。
市内で野菜や米の同型農業に取り組む生産者の活動や思いを消費者に伝えることで、環境負荷の軽減に配慮した〝持続的な農業〟の魅力を発信し、消費拡大に繋(つな)げようという場で、合わせて20人が参加した。
「農Limit」では、<1>環境保全と食の安全を考える<2>有機農業の技術向上を目指し、会員全体で農業技術の研究を進める③有機農業の価値を消費者に広く周知する――などといった趣旨に沿い研修会を重ねてきた。
年代は30~60代、農業経験も数年から40年以上のベテランまで幅広く、それぞれが得意な分野を生かした農業に従事している。今回の交流会ではまず、生産者9人それぞれが有機農業に取り組み始めたきっかけとともに、作付けしている野菜の品目、通常型の農業との違いなどについて紹介した。
このうち会長を務める安島さんは、15年ほど前に本腰を入れたという。「最初から無農薬でやろうと決めていた」。きっかけとなったのは、昭和30年代ごろ、幼いときの記憶だった。当時は戦後の人口増と食糧難を乗り切るため、次々と農薬が取り入れられるようになった。
「薬剤散布の日、父は上下の雨ガッパを着て作業し、帰宅後はすぐに服を脱ぎ、風呂で薬剤を丹念に洗い流していた。よほど強くて怖い薬なんだろうと子ども心に思いました」
出席者のなかには料理人やパティシエ、食品開発者など食のプロたちも。最後は旬の有機野菜や宇都宮大が開発した国立大初の品種で、高い評価を受けている「ゆうだい21」の新米を使ったオーガニックランチが振る舞われ、消費者たちは環境保全型農業の魅力について理解を深めていた。
問い合わせはあじま農園=電話(63)3896=、またはメール=info@ajimanoen.com=。
(写真:「有機農業のすそ野を広げていきたい」と安島さん)
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