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いわき市と横浜市 再エネの活用で連携協定締結 メガソーラー余剰電力提供へ
いわき市と横浜市は「再生可能エネルギーの活用に関する連携協定」を締結した。協定を通じ、田人町の福島・田人メガソーラー発電所で生み出された再生可能エネルギー(再エネ)のうち、いわき市で消費されなかった余剰電力を横浜市に提供する。
横浜市は国内有数の港湾都市・商工業都市のため、2050年に温室効果ガス排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を実現するためには、広域連携による市域外からの供給が不可欠な状況で、全国16市町村と連携協定を結んでおり、新たに観光振興で関係が深いいわき市が打診を受けた。締結は17日付。
福島・田人メガソーラー発電所は、京セラTCLソーラー合同会社(東京都千代田区)が事業主で、旧田人カントリークラブの跡地を活用。市によると、発電出力は2万1500キロワットで、2020(令和2)年11月から稼働している。
いわき市では再生可能エネルギーの地産地消を推進しており、昨年3月に電力の卸売りを手掛ける「まち未来製作所」(横浜市)と協定を交わし、いわき市内の再エネ発電所から電力を買い取る仕組みを構築した。市内の事業者がその電力を使うことで、自社の電気を100%再エネ由来にする「RE100」にもつながり、温室効果ガス排出量の削減が図られる。
またいわき市には1キロワット当たり0・15円の還元があり、地域活性化を狙いに、年間330万円が入るという。
こうした中で余剰電力を巡り、いわき市と横浜市で「地域循環共生圏」を形成する方針が固まった。両市は2015(平成27)年に横浜市発着のスパリゾートハワイアンズ送迎バスの運行が始まったことを契機に、同市でいわき産トマトのPRイベントが展開されるなど、継続的に交流を重ねている。連携協定を交わす県内自治体としては郡山市、会津若松市に次いで3例目。
今後は横浜市を軸とし、脱炭素に向けた住民・企業のかかわりを深めたり、国への政策提言を共同で進めたりする。さらに地域循環共生圏をともにする自治体間の結びつきを強化し、交流人口拡大を目指していく。
(写真:福島・田人メガソーラー発電所)