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「常交おかえりバス」運行始まる 夜間の需要把握へ 初日から利用者は歓迎
新常磐交通(本社・明治団地)は21日、夜間の基幹バス路線に対し、市民の移動ニーズ把握などを目的とした実証事業「常交おかえりバス」の運行を始めた。同社は運転手不足に加え、自動車運送事業の働き方改革(ドライバーの時間外労働上限規制)に伴い、夜間の路線バスの時間を繰り上げているが、実証事業ではワゴンタイプの車両を活用し、市民の需要を見定めながら今後の取り組みを探っていく。
運行する3系統のうち、初日は午後9時にいわき駅前を出発するラパークいわき行きに、学校帰りの高校生や仕事帰りの社会人が次々と乗り込んでいった。
常交おかえりバスの運行系統とダイヤは、「館の腰(午後7時50分発)→イオンモールいわき小名浜→鹿島ショッピングセンター→いわき駅前(同8時42分着)「いわき駅前(同9時発)→高専前→中央台北中→ラパークいわき(同9時44分着)」「ラパークいわき(同9時50分発)→鹿島ショッピングセンター→イオンモールいわき小名浜→小名浜車庫(同10時28分着)」。
車両は主にワゴンタイプの普通車(12人乗り)を使用するが、通常の路線バスと変わらないため、運転手は系列会社の常交タクシーから大型二種免許を持つ社員を転籍させた。
ルートは通常運行と同じで、停留所や運賃も変わらない。土曜・日曜・祝日を含む3月7日まで展開する。実証事業の車両は現金での支払いのほか、地域連携ICカード「LOCOCA(ロコカ)」、交通系ICカード「Suica(スイカ)」等も対応。バス定期券も利用可。スマートフォンやパソコンで、運行中の路線バスの位置情報や停留所の時刻検索ができる「バスロケーションシステム『JOKOバスくる』」も使える。
初日から歓迎の声が聞かれた。いわき駅前から乗った磐城桜が丘高2年の男子学生は「バスの時刻が早くなったため、いままでは両親に送り迎えを頼んでいた。遅い時間にまたバスが戻ったことで、両親の負担が減らせるのでうれしい。できればずっと走ってもらえれば」と語った。
新常磐交通ではもともと、ラパークいわきや小名浜方面に向かう最終の路線バスは、いわき駅前を午後9時台に出発していた。
この点に関して、門馬誠常務取締役は「利用者の皆さんの声を真摯(しんし)に受け止めたい。ただドライバー不足は根本的な解決に至っておらず、その後については何とも言えないが、まずは需要を確認していきたい」と呼びかけた。
詳しくは同社のホームページ<こちら>を参照すればよい。
(写真:運行が始まった「常交おかえりバス」)