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いわき平競輪場・Jヴィレッジ周辺 来年5~6月にパラ自転車のW杯開催へ
いわき市や双葉郡広野、楢葉町で来年5月から6月にかけて、障がい者自転車競技の国際大会として、国際自転車競技連合(UCI)による「パラサイクリング ロード ワールドカップ(W杯)」が行われる方針が固まった。
大会運営に取り組むのは、常磐上湯長谷町のいわきFCパーク内に事務局を置く「日本パラサイクリング連盟」のハイパフォーマンスディレクター・権丈泰巳さん(52)=泉ケ丘=。
「来年は(大型観光企画の)デスティネーションキャンペーンの開催や、いわき市制60周年を迎える大きな年。ぜひパラサイクリングを通じ、たくさんの人と一緒にこの街を盛り上げていきたい」と意気込む。
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権丈さんは福岡市出身。中学1年の時、ツールドフランスにあこがれて自転車を始め、大学の時に視覚障がい者をタンデム(2人乗り)自転車に乗せて走るボランティアと出会い、障がい者自転車競技と関わりを持った。
2004年アテネパラ五輪から21年の東京パラ五輪まで、パラサイクリングのコーチ、監督を歴任。いわき市からの招へいもあって、19年5月に連盟事務局の移転とともに、いわき市に移住した。現在はいわきFCパーク内の「いわき自転車文化発信・交流拠点『ノレル?』」のディレクターも務めている。
「私は自転車競技が好きとかではなく、乗れない人が乗れるようになったのが自分の喜びなんです」と権丈さん。目が見えなかったり、ダウン症だったりする人が恐る恐る自転車にまたがるところから、補助輪を外して風を切るまでになる姿を幾度も支えてきた。
「どうしても自転車を乗る前にあきらめている人もいる」。障がい者自転車競技の普及はもちろんのこと、自転車そのものを楽しむ機会を何よりも大切にする。
世界大会の開催実績として、権丈さんは2015年、静岡県で国内初の国際大会「ジャパンパラサイクリングカップ」を成功させた。ただ本番までは一筋縄ではいかなかった。自らチラシを手に地元企業や学校を回りながら、パラサイクリングについて説明した。
今回のW杯は、2028年のロサンゼルスパラ五輪に向け、出場国枠を競うポイントを懸けた大会となる。欧米を中心に世界から約300人がエントリーするとみられ、関係者を含めると1千人以上が来訪する。
大会会場はいわき平競輪場を発着点とした平中心市街地と、Jヴィレッジの周辺を予定している。メインの宿舎は車いすの利用者を念頭にJヴィレッジを検討しているが、いわき湯本温泉を含む、いわき市各地にも宿泊する。
昨年12月にはUCIの担当者が来日。「いわき平競輪場は案内・施設が素晴らしい。とてもユニークなコースが作れそうです」と話していたという。
今後は行政の支援やスポンサー集めが急務。3月までに準備委員会を発足する見通しで、権丈さんは「もう逃げられないですね。一生懸命頑張ります」と笑顔で語った。
(写真:来年のW杯に向けて意気込む権丈さん)