日本を代表するNHK交響楽団(N響)による「第12回いわき定期演奏会」は2日、いわき芸術文化交流館「アリオス」アルパイン大ホールで開かれた。トゥガン・ソヒエフ氏が指揮を務め、メインプログラムのドボルザーク「交響曲第8番」では重厚感にあふれながらも心地のよい音楽を繰り広げ、最後は管弦楽の魅力を存分に華々しく締めくくると、満員のホールは割れんばかりの拍手に包まれた。
ソヒエフ氏は旧ソ連・北オセチアに生まれ、フランスのトゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団の首席指揮者と、ロシア・モスクワのボリショイ劇場音楽監督を兼任していたが、ロシアによるウクライナ侵攻を受けた中で、文化芸術の世界でも「親ロシアか、反ロシアか」を迫られ、どちらのポストも辞することを決断。「音楽はこの地球上の平和を愛するすべての存在に希望を与えてくれる」と呼びかけ、現在まで飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍している。
またムソルグスキーの歌劇「ソロチンツィの市」に加え、N響第1コンサートマスターの郷古廉さんをソリストに、バルトークの「ヴァイオリン協奏曲第2番」を披露。多彩な旋律が駆け巡る難曲を感情豊かな表現し、聴く人を釘付けにした。
郷古さんはアンコールに応え、4月から新たに第1コンサートマスターに就く長原幸太さんと、バルトークの「44のヴァイオリン二重奏曲より『新年のあいさつ』」を奏でた。
<次回定期では市民合唱団募る 来年3月15日>
第13回いわき定期演奏会は来年3月15日、いわきアリオスで開催される。東日本大震災から15年の節目に合わせ、「鎮魂のレクイエム」と題し、モーツァルトの「レクイエム」を歌う市民合唱団の参加者を募る。
募集はソプラノ、アルト、テノール、バスの計80人程度。詳細は2月下旬にいわきアリオスのウェブサイト<こちら>に掲載する。
(写真1枚目:N響を指揮するソヒエフ氏と、ソリストを務めた郷古さん 2枚目:植田町出身の黒金寛行さん)